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2024/04/24

ネジバナの花で採餌するクマバチ♀は捻れの向きの違いに対応できるか?【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午前11:00頃・くもり 

山麓の池畔に点々と咲いたネジバナの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
そもそも私は、ネジバナの送粉者をこれまで実際に観察したことがありませんでした。 

 関連記事(3年前の撮影)▶ クロマルハナバチ♀はネジバナの花で採餌するか?
TV番組を見ていたら(中略)、ネジバナの送粉生態学を分かりやすく紹介していました。 興味深く拝見していると、ニホンミツバチやコハナバチなど体長約1cmの小さなハチがやってくるのだそうです。
クマバチは大型のハナバチなので、今回の観察結果は明らかに反例となります。 

小さな花が並んで咲いている茎を下から上に登りながら螺旋状の花序を順に訪れ、丹念に吸蜜していました。 
登りながらときどき羽ばたいているのは、体のバランスを保つためでしょう。 
ネジバナ花序の天辺に来ると次の花序の下部まで飛んで移動し、また螺旋状に登りながら採餌を続けます。 
後脚の花粉籠は空荷でした。 
ネジバナ螺旋花序での採餌行動を回転集粉と呼ぶのは間違っているでしょうか?(用語の誤用?) 

ネジバナの花でクマバチ♀が採餌する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:50〜) 
花から飛び立った後のホバリング(停空飛翔)もスーパースローにすると見応えがあります。 


ネジバナはラン科なので、それぞれの花には花粉塊があるはずです。
しかし、訪花を繰り返すクマバチ♀の体毛に花粉塊は付着していませんでした。
(花から飛び去る際に、縮めた口吻の先に黄色い花粉が付着していた?)
後脚の花粉籠も空荷だったので、もう花粉が取り尽くされた後の花で吸蜜に専念していたのかもしれません。


細長いネジバナの花序にAFのピントを素早く合わせるのは結構大変なので、クマバチが次から次に別の花序を訪れるシーンを連続で動画に記録することはできませんでした。 
(毎回、蜂が来ている花序にピントを合わせてから撮影を始めます。) 

しばらく観察していると、クマバチ♀がときどき螺旋状のネジバナ花序を下に少し降りては上に登り直すというギクシャクした動きをすることに気づきました。 
ネジバナ花序の螺旋の向きは右回りと左回りが群落内でほぼ半々あるらしく、たまに全く捻じれていない花序もあるそうです。
(私は捻れのない花序を未だ見つけたことがありません。)
それまでずっと右回りの螺旋で採餌していたクマバチ♀が急に左回りの螺旋花序に来ると、戸惑って下降してしまうのでしょうか?(逆もしかり) 
それでもじきに新しい回転の向きに順応して、上に登りながら採餌するようになります。 
クマバチはネジバナの群落内で捻れの反転にいまいち臨機応変に対応できないのかもしれません。 
 …という「もっともらしい仮説」を思いついて有頂天になりかけたのですけど、よくよく考え直すと、説明になっていません。 
たとえネジバナの螺旋花序を下降したところで、蜂にとって螺旋の向きは変わりませんね。 
(左回りの螺旋を下降しても、通い慣れた右回りの螺旋にはならない。) 
素人考えでは、螺旋の向きを統一したほうが送粉者への負担が少ない(授粉効率が上がる)はずです。 
なぜネジバナの花はそのように進化しなかったのでしょうか? 
例えば、右巻きのネジバナと左巻きのネジバナが今まさに別種に種分化する途中だとしたら、面白いですね。 
特定の向きの螺旋花序に対応したスペシャリストの送粉者もそれぞれが共進化で種分化することになりそうです。 
せっかくスムーズに採餌していた送粉者を戸惑わせて負荷(ストレス)をかけたり授粉作業を遅らせたりしているのは、ネジバナの繁殖戦略上、何か秘密がありそうな気がします。 
他家受粉の効率を上げるために、ハナバチには少し採餌したら別な群落に飛び去って欲しいのかもしれません。 

いくら考えても、私にはエレガントでしっくりくる説明が思いつきません。 
それとも単に、一度素通りした花に蜜が残っていることに気づいたクマバチ♀が花序を下降して戻っただけなのでしょうか? 
ネジバナ花序の螺旋の向きが本当にランダム(右巻き:左巻き=1:1)なのか、現場で確かめるべきでしたね。
1本ずつ花序にテープなど目印を付けながら螺旋の向きを調べないと、重複や漏れがありそうです。
下に掲載した写真では、左巻きの花序は少数でした。
個人的にクマバチもネジバナも好きなので、この夏一番エキサイティングな虫撮りになりました。


【参考文献】 
ネット検索してみると、先行研究がありました。
ネジバナ花序の捻れの向きではなく捻れの強弱に注目した研究で、送粉者としてはハキリバチの採餌行動を観察したそうです。 
Iwata T, Nagasaki O, Ishii HS, Ushimaru A. Inflorescence architecture affects pollinator behaviour and mating success in Spiranthes sinensis (Orchidaceae). The New phytologist. 2012;193:196-203. (検索すると、全文PDFが無料でダウンロードできます。) 


この研究の概要が石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係:受粉にまつわる生態学 』という本に書かれていました。
花序の捻じれ具合が異なるネジバナ群落の中で:しぐま註)捻じれ具合の弱い花序ほど多くの送粉者(ハナバチ)が訪れる一方で、そのような花序ほど、ハナバチ各個体による花序内での連続訪花数が増加していることがわかりました。ハナバチの仲間には、花序を下から上に向かって訪花していく傾向があります。捻じれが強い花序を訪れたハナバチは、いくつかの花をスキップして上の花に到達し、そのまま他の花序へ飛び立ってしまうようです。そして、捻じれが強い花序は、花がばらばらの方向を向いているために、送粉者から、やや目立ちにくくなっているようです。つまり、捻れが弱いほうが多くの送粉者を集めることができますが、捻れが強いほうが隣花受粉は減らせるようなのです。 (p212〜213より引用)

この論文の結果を念頭に置いてネジバナ送粉者の採餌行動を私なりにもっと観察してみたいのですけど、昆虫の数が激減している昨今では、観察効率が悪くて仕方がありません。
ネジバナの花が咲き乱れる群落でしばらく待っても、クマバチ以外の訪花昆虫を全く見かけませんでした。

ネジバナの美しい螺旋花序はとても魅力的なテーマなので、螺旋の形態形成(花の発生学)などをもう少し自分で深く勉強したくなります。 
植物の形態にはフィボナッチ数列フラクタルなど数学的に美しい構造が潜んでいます。 
それを実現するために、具体的にどのようなプログラム(再帰的アルゴリズム)で植物のゲノムに記述されているのか、植物のエボデボ(Evo Devo)やエピジェネティクスも勉強したら面白そうです。 


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【追記】
高校生による独創的な研究を見つけました。
野外でのネジバナの揺れ方の違いから「花の配置が気流に影響する」と考え、「風洞実験装置」いう装置を用いて、煙を使い気流を観察した。
私もこのぐらい柔らかな発想で調べたいものです。
右回り
左回り(私ピンクのサウスポー♪きりきり舞いよ♪きりきり舞いよ♪)
右回り
右回り
ネジバナの花:右回り

2024/04/22

オレガノの花蜜を吸い飛び回る夏型のキタテハ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午前11:55:頃・晴れ 

民家の裏庭の花壇に咲いたオレガノ(別名ハナハッカ)の群落で夏型のキタテハ♀(Polygonia c-aureum)が訪花していました。 
翅をときどき開閉しながら吸蜜しています。 

風が強く吹いて虫撮りには最悪のコンディションでしたが、240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ると、風揺れが気にならなくなります。(@0:19〜)。 
というか、ハイスピード動画モードに切り替えた途端に風が静かに収まってしまいました。(まさにマーフィーの法則) 
隣のオレガノ花序でハナバチの一種♀が歩き回りながら採餌していますが、キタテハには干渉しませんでした。 
キタテハも最後に力強く羽ばたいて飛び去りました。 


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2024/04/18

リョウブの花蜜を吸うイチモンジチョウ♀

 

2023年7月下旬・午後13:15頃・晴れ 

山道の横に咲いたリョウブの灌木でイチモンジチョウ♀(Limenitis camilla japonica)が訪花していました。 
意外にも、この組み合わせは初見でした。 
ゆるやかに翅を開閉しながら吸蜜しています。 
前翅の中室内の白斑が不明瞭ながらもあるので、性別は♀のようです。 
少し飛んで別の花序に移動し、吸蜜を続けます。 
今度は翅裏をしっかり見せてくれました。 

イチモンジチョウ♀がリョウブの花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:36〜)

2024/04/16

ネジバナの花から飛び立ち獲物を捕食するナツアカネの未成熟♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月下旬・午後14:30頃・曇りときどき晴れ 

山麓の水路沿いの小径に咲いたネジバナ花序の天辺に未成熟のナツアカネ♀(Sympetrum darwinianum)が止まっていました。 
翅を深く下げて休んでいます。 
右中脚の先(跗節)が欠損している個体でした。 
狩った獲物に必死で反撃されて足先を噛み千切られたのかもしれません。
今回初めて知ったのですが、図鑑『日本のトンボ』によると、ナツアカネ♀は翅の基部に橙色斑が現れる個体もいるとのこと。 

頭部をグリグリ動かして大きな複眼で上空を油断なく見張り、何か他の昆虫が飛来すると直ちに飛び立ちます。 
獲物を待ち伏せする上でこのネジバナはお気に入りの止まり場らしく、飛び立ってもすぐに同じ花序に戻って来ます。 
ネジバナに訪花すると言っても、花蜜や花粉が目当てではありません。
花に止まる向きにはこだわらないようです。 
ちなみに、この株は右回りにねじれて咲く螺旋花序でした。 (野生のネジバナで螺旋の向きは、右回りと左回りの株が1:1で見つかるらしい。) 

この個体がネジバナの花序に離着陸する瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:17〜1:13) 
ナツアカネ未成熟♀は、左上を見上げてから飛び立ちました。 
離陸直前にフェイントをかけるように、スクランブル発進の角度を変えたのが興味深く思いました。 
上空を高速で通り過ぎる獲物に対応して、軌道を先読み(高速軌道計算)したのでしょう。 
すぐに同じネジバナに戻ってきて着陸。 
前回とほぼ同じ方向に止まりました。 
しっかり横を向いてくれたときにトンボの口元に注目すると、獲物を咥えてなかったので、狩りには失敗したようです。 

狩りに成功したシーンは高画質のFHD動画で撮れていました。 
ネジバナの天辺から飛び立って戻ってきたナツアカネ♀は、口に何か小さな黒っぽい昆虫を咥えていました。 
その場でムシャムシャと獲物を咀嚼して捕食します。 
食事に脚を使うことは全くありません。 
この獲物を食べ終える前に、ナツアカネ♀が再び飛び立ちました。 
今回の狩りは失敗したようです。 (獲物に逃げられた)
食べかけの獲物を咀嚼し続けて、完食しました。 
捕食中に、手足を使わずに口の動きだけで、獲物の食べられない翅を落としました。 
この食べ残しを拾ってじっくり調べたら、獲物の正体が大まかにでも突き止められたかもしれませんね。 
後半は、狩りの成功シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:19〜) 

このナツアカネ♀個体は観察の後半になると、ネジバナの花から移動して近くの下草(イネ科)に止まり直しました。 
後ろ向きでは口元が見えず、狩りの成否が不明です。 
それでも背側から撮れたので、順番を入れ替えて冒頭シーンに採用しました。 
周囲の林からミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)♂の鳴く声♪が聞こえます。 


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2024/04/14

オレガノの花蜜を求めて飛び回るウラギンスジヒョウモン♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午後12:00頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたオレガノ(別名ハナハッカ)の群落でウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。 
前翅の翅表には性斑(性標)の黒条が2本あります。 

オレガノの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:50〜) 
晴れていても風が強く吹く日でした。 
スーパースローにすると、悩ましい風揺れも気にならなくなります。 
ウラギンスジヒョウモン♂は味見して蜜量が少ないと、少し飛んで隣の株の花序へ移動します。 
探餌飛翔中のキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)や採餌飛翔中のクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)もカメオ出演してくれました。

2024/04/10

トリアシショウマの花で飛び回り採餌するオオマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午後12:20頃・くもり 

ほぼ廃道状態になった里山の林道に咲いたトリアシショウマの群落でオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
吸蜜する蜂の後脚を見ると、花粉籠に白い花粉団子を満載していました。 
振動集粉するかと期待したものの、静かな山中で耳を澄ませても特有の振動音♪が聞き取れません。 

オオマルハナバチ♀がトリアシショウマの花穂から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜) 
空中でホバリング(停空飛翔)しながら左右の後脚を擦り合わせて身繕いし、体毛に付着した花粉を後脚の花粉籠にまとめます。

2024/04/08

吸蜜後にオレガノの花から飛び立つキオビツチバチ♂【ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午後12:00頃・晴れ 

民家の庭の花壇に咲いたオレガノ(別名ハナハッカ)の群落でキオビツチバチ♂(Scolia oculata)が訪花していました。 
雄蜂♂との組み合わせは初見です。 



吸蜜シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
風がやや強く吹く日で、オレガノの花序が激しく揺れています。
スーパースローで見ると風揺れは気になりません。 
オレガノの花から飛び立った後のキオビツチバチ♂を見失ってしまい、高画質のFHD動画は撮れず仕舞いでした。


2024/04/07

矮小ヒマワリの花蜜を吸うベニシジミ夏型

 

2023年7月中旬・午前10:10頃・くもり 

民家の裏庭の花壇で矮性ヒマワリ(向日葵)がプランターの中に咲いていました。 
矮小化したヒマワリの品種を初めて見ましたが、草丈が目測で15〜20cmしかありません。 
矮性ヒマワリやミニヒマワリとして種子が園芸店やホームセンターで販売されているようです。 

そこにベニシジミ夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
ヒマワリとベニシジミの組み合わせは初見です。 
まだ開花したばかりなのか、黄色い舌状花の花弁が開ききっていません。 
中央の茶色い筒状花に止まって翅を閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
途中から翅を半開きにして歩き回り、向きを変えてくれたおかげで翅表が見え、夏型と確定しました。 
矮小向日葵の花から飛び立つ瞬間をハイスピード動画で撮ろうとカメラの設定を切り替えている間に、ベニシジミは飛んで逃げてしまいました。 


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2024/04/03

トリアシショウマの花を舐めるスズキナガハナアブ♀【ベイツ型擬態】

 

2023年7月中旬・午後12:20頃・くもり 

里山の細い山道(ほぼ廃道状態)に沿って咲いたトリアシショウマの群落でスズメバチにそっくりなアブが訪花していました。 
後で調べてみると、スズキナガハナアブ♀(Spilomyia suzukii)でした。 
 【参考】:「ハナアブの世界」サイトにスズキナガハナアブの標本写真が掲載されています。 

半開きの翅をリズミカルに開閉しながら口吻を伸縮させて花粉と花蜜を舐めています。 
食事の合間に左右の前脚で頭部を擦ったり口吻を挟み込んだりして、付着した花粉を拭い取りました。 
本種の訪花シーンは初見です。
同一個体を追いかけて撮影しました。 
森の中でヒグラシ♂(Tanna japonensis)が寂しげに鳴いています♪ 

冒頭のシーンではヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)も同じトリアシショウマの花穂に来ていましたが、互いに無関心でした。 


スズキナガハナアブはベイツ型擬態の好例ですけど、モデルとなった蜂が何なのか、よく分かりません。 
キアシナガバチPolistes rothneyi)ですかね? 
特定の種類のスズメバチやアシナガバチではないかもしれません。 
蜂好きが見ると不完全な擬態で、粗が目立ってしまいます。 
まず腰が太いので「毒針に刺されそうで怖い!」とは思いません。 
本当に刺す蜂(有剣類)は、腰が細いのが特徴です。
私の知る限り、スズメバチ類はトリアシショウマの花で吸蜜しませんから、その点でも違和感を覚えました。 
しかし捕食者に恐怖で狩りを躊躇させるには充分似ているのでしょう。 

スズキナガハナアブは「人の手があまり入らない、原生的な自然環境を必要とする種」とのことで、確かに今回の現場は原生林というほどではありませんが、整備されずに放置された里山でした。 
多数の倒木で塞がれた廃道には雑草や灌木が生い茂っていました。 
山の管理者が林道や登山道をきれいに整備した途端に周辺の生物多様性が貧困になる(希少種は居なくなり、ありふれた普通種しか見られなくなる)という現象は私も実感しています。 
林業の観点からは山林を整備した方が良いに決まっているので、自然破壊と一概には決めつけられません。 
間伐して定期的に下草を刈るなどの整備を施して林縁的な里山環境が保全されている方が生物多様性は高まる、というのが定説ですけど、希少種の昆虫に関しては優しくないのでしょう。 

スズキナガハナアブの幼虫は何を食べて育つのか、生態が解明されているのでしょうか? 
生息環境が原生林に限られるということは、おそらくスズメバチの巣などに寄生するのではないか?(何かしらの寄生種だろう)と私はずばり予想します。
寄主の巣に産卵する際に擬態が役立っているのではないか?と先走った妄想をしています。 


関連記事(9、12年前の撮影)▶  


2024/04/01

トリアシショウマの花蜜を吸うメスグロヒョウモン♂

 

2023年7月中旬・午後12:05頃・くもり 

山道の横に咲いたトリアシショウマの群落でメスグロヒョウモン♂(Damora sagana)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
半開きの翅を軽く開閉しながら吸蜜しています。 
翅が無傷できれいな個体でした。 

ヒョウモンチョウの仲間は翅裏の斑紋を見ないと同定が難しいのですが、なかなかしっかり見せてくれません。 
念じながら待っていると、後半にようやく向きを変えてくれて、メスグロヒョウモン♂と判明しました。

2024/03/27

ナンテンの花で採餌するヒメハナバチの一種♀

 

2023年7月上旬・午前11:05頃・くもり 

街なかで民家の軒下に植栽されたナンテンにヒメハナバチ科の一種♀(種名不詳)が訪花していました。 
通常マクロモードでカメラのレンズをそっと近づけても、訪花中の蜂は逃げませんでした。 
口吻を伸ばして吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載しています。 
採餌の合間に身繕いして、体毛に付着した花粉をまとめて花粉籠に移します。 

トラマルハナバチ♀も同時に訪花していましたが、互いに無関心でした。 

2024/03/24

ウツボグサの花から花へ飛び回り採餌するトラマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月上旬・午前11:45頃・くもり 

里山の麓に近い山道に沿って咲いたウツボグサの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。 
シソ科の唇形花に正当訪花で吸蜜する蜂の後脚を見ると、花粉籠に茶色の花粉団子を付けています。 

トラマルハナバチ♀の採餌行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:30〜) 
トラマルハナバチは顔の幅が細いので、花筒の奥に顔を突っ込みやすくなっています。 
花筒から長い口吻を引き抜きながら、左右の中脚で同時に胸背と頭部を拭い、付着した花粉をまとめています。 
次の花に飛びながら空中でも身繕いを行い、後脚の花粉籠に移しています。 
飛翔中も長い口吻を伸ばしたままでした。 (邪魔にならないよう後方に向けている。)
一連の動きに無駄がありません。

関連記事(11年前の撮影:吸蜜のみ)▶ トラマルハナバチ♀がウツボグサに訪花 


トラマルハナバチの他にはセセリチョウの仲間(イチモンジセセリ?)も訪花していたのですが、蜂の撮影を優先している間に見失ってしまいました。

2024/03/23

モクゲンジを訪花中に求愛してくるオオチャバネセセリ♂と交尾拒否する♀

 

2023年7月上旬・午後16:10頃・晴れ 

民家の裏庭に咲いたモクゲンジに複数個体のオオチャバネセセリ♀♂(Zinaida pellucida)が訪花していました。 

まず、クゲンジの葉に乗っている個体に注目しました。 
♀が飛来するのを待ち伏せしている♂なのでしょうか? 
それとは別に、右の枝で訪花中の個体♀がいました。 
その♀が花から花へと少し飛ぶと、葉上の個体♂が目敏く見つけて追尾開始。 
花に止まった♀の周囲を♂がホバリング(停空飛翔)しながら飛び回りました。 
2頭はすぐに別れてしまったのですが、何が起きたのか1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:24〜) 
ホバリングする♂の激しい羽ばたきで♀の翅にバシバシと何度も軽く触れていました。 
求愛を受けても♀は翅をしっかり閉じたままです。 
これが交尾拒否の姿勢なのでしょう。 
♂は諦めてすぐ飛び去りました。 

独りになった♀はようやく落ち着いて口吻を伸ばすと、モクゲンジの花蜜を吸い始めました。 
しばらくすると♀も次の花に飛び去りました。 
オオチャバネセセリは羽ばたきが速過ぎて、ハイスピード動画で撮らないと翅表の斑紋がしっかり見えませんね。



オオチャバネセセリ♀@モクゲンジ訪花吸蜜

2024/03/21

手まり咲きの白いアジサイの花で振動集粉♪するクロマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午後16:55頃・くもり 

郊外の住宅地で民家の庭に植栽された白い手まり咲きのアジサイ(紫陽花)クロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。(wikipedia:アジサイより引用)

クロマルハナバチ♀がアジサイの白い装飾花の奥に潜り込んでしまい、採餌シーンがしっかり観察できません。 
断続的にプーン♪という羽音が聞こえるということは、振動集粉をしているようです。 
実際には羽ばたかずに、胸部の飛翔筋を高速で激しく収縮させています。 
全身を細かく震わせて雄しべの葯から花粉を揺すって落とし、自らの体毛に付着した花粉を効率よく集める採餌法です。 
後脚の花粉籠には白い花粉団子を集めています。 
最後に蜂が飛び去る羽音はブーン♪という重低音で、振動集粉よりも周波数が低く聞こえます。 
つまり、飛翔時の羽ばたきよりも高速で飛翔筋を伸縮させて振動集粉していることが分かります。

※ 振動集粉の音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


関連記事(7、11年前の撮影)▶  
エゾアジサイの花で採餌するトラマルハナバチ♀ 


クロマルハナバチ♀の振動集粉を声紋解析してみる

いつものように、オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAVファイルとして抽出してから、振動集粉および羽ばたく羽音を切り出し、それぞれスペクトログラムを描いてみました。 
遠くでニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)が絶え間なく鳴いていますし、私が手に持ったカメラからギシギシときしむ音を立ててしまったので、ピンクノイズが多いです。 
音程の違いだけでも可視化したかったのですが、説得力のあるきれいなスペクトログラムを得られませんでした。

振動集粉のスペクトログラム(2回分)

 
羽音のスペクトログラム


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2024/03/18

ナンテンの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午前11:05頃・くもり 

街なかで民家の軒下に植栽されたナンテンの灌木にトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組合せは初見です。 
吸蜜・集粉する蜂の後脚を見ると、花粉籠に橙色の花粉を満載していました。 

焦った私がレンズを近づけ過ぎてしまい、トラマルハナバチ♀を警戒させてしまったかも知れません。 
レンズを掠めるように飛び去る際にブーン♪という低い羽音が聞こえました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:11〜)


ヒメハナバチの一種♀も同時に訪花していましたが、互いに無関心でした。 

2024/03/16

セイヨウタンポポの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂と謎の寄生蜂

 

2023年6月中旬・午前9:10頃・晴れ 

水田の畦道に咲いたセイヨウタンポポウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
タンポポの頭花に乗ってゆっくり回り、翅を軽く開閉しながら長々と吸蜜しています。 
前翅の表側に性斑(性標)の黒条が見えたので♂と分かります。 

撮影中には気づかなかったのですが、長い産卵管を持つ黒くて小さな寄生蜂♀(コマユバチ科?)が同じセイヨウタンポポ頭花に何度も飛来、訪花していました。 
小さい寄生蜂の存在をウラギンヒョウモン♂は全く気にせず(眼中になく)、花蜜に夢中です。 
蝶の成虫に産卵するタイプの寄生蜂♀を私は見聞きしたことがありません。 
訪花中のウラギンヒョウモン♂に謎の寄生蜂♀は積極的に近づいたり触れたりしませんでした。 
チョウの♀が食草に産みつけた直後の卵に産卵するために、寄生蜂♀がチョウ♀を尾行しているとしたら非常に面白いのですが、今回のウラギンヒョウモンは♂です。 
卵に産卵するタイプの寄生蜂の産卵管は、これほど長くない気がします。 
なんとなく、鱗翅目(チョウ・ガ)の幼虫や蛹に産卵するタイプの寄生蜂のような気がします。 
したがって、今回撮れた2種のニアミスは偶然(たまたま)だと思います。 

最後にようやく飛び立ったウラギンヒョウモン♂は、すぐに同じセイヨウタンポポ頭花に舞い戻りました。 
よほど花蜜の量が多いのでしょう。 
周囲の湿地帯からオオヨシキリ♂(野鳥)やヒヨドリの鳴く声♪が聞こえます。 

寄生蜂の思わせぶりな行動をじっくり見るために、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう(@3:00〜)。 
複数(2、3匹)の寄生蜂が繰り返し飛来していました。 
隣のタンポポの葉に一旦止まって様子を窺っている個体もいます。 
田んぼの畦道には他にも花が点々と咲いているのに、なぜ寄生蜂は特定のセイヨウタンポポの頭花に複数個体が集まり、しかも執着しているのでしょうか? 
そう考えると、やはり吸蜜中のウラギンヒョウモン♂に寄生蜂♀は興味があるのだろうと思いたくなります。 
タンポポの花に潜り込んで吸蜜していた寄生蜂が飛び上がり、ウラギンヒョウモン♂の前翅に一瞬だけ着地していました。(@3:53〜) 
果たしてこの接触事故は偶然でしょうか? 
蝶にぶつかったのは一度だけですから、蜜源植物を巡って占有行動をしている、つまり寄生蜂♀が自分よりもはるかに大きな蝶に体当りしてタンポポの花から追い払おうとしている、とは考えられません。
もしも、蝶の翅にぶつかった瞬間に寄生蜂♀が素早く産卵していたら、大発見です。 
しかし蝶の成虫に体内寄生しても、寄主の寿命が短ければ寄生蜂の幼虫が無事に育つのは難しいでしょう。 
私が気づかなかっただけで、実はこのセイヨウタンポポの花には寄生蜂♀の本来の寄主である何か幼虫(イモムシ、毛虫)が潜んでいたとか、その食痕があったのかもしれません。


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2024/03/14

ムシトリナデシコの花蜜を吸い飛び回るキタテハ夏型♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月下旬・午後14:30頃・曇のち晴れ 

山麓の家庭菜園の花壇に咲いたムシトリナデシコの群落でキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。 
この組み合わせは初見です。 
夏型の場合、翅表の色彩が淡いのは♀の特徴なのだそうです。(参考:『フィールドガイド日本のチョウ』p223) 

ムシトリナデシコの花序を歩き回っていたキタテハ♀がバランスを崩しました。 
体勢を立て直そうと羽ばたいたついでに、少しだけ飛んで移動します。 

花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
少し飛んで隣の花序に移動します。 

伸ばした口吻の先端で花筒の入口を探り当てると、深く差し込んで吸蜜していることがスローモーションでよく分かります。 
蜜標を目印にして訪花しているはずですが、花筒の開口部を探り当てるのに苦労しています。(視覚ではなく口吻の触覚に頼っているように見えます) 
園芸品種のムシトリナデシコでは品種改良の結果、花弁の根元にあるはずの蜜標が目立たなくなってしまったのでしょうか? 
紫外線写真を撮って確認してみたいものです。 

ムシトリナデシコ(虫取撫子)がムシトリと呼ばれる理由は、茎に強い粘着性を有する区間があり、地上から登ってくるアリなどを吸着(捕虫)するからです。 
関連記事(11年前の撮影)▶ ムシトリナデシコに来る虫の話 

捕らえた獲物を体外消化する食虫植物ではなく、送粉に寄与しないアリなどの盗蜜者が訪花するのを排除するための進化的適応と考えられています。 
今季は「虫撮り撫子」に訪花する様々な蝶を動画に撮ることが出来ました。

2024/03/12

キリンソウの花蜜を吸い飛び回るメスグロヒョウモン♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月下旬・午後14:15頃・晴れ 

山麓の神社の参道沿いに咲いていたキリンソウの群落でメスグロヒョウモン♂(Damora sagana)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
日向では暑いのか、閉じた翅をときどき半開きで開閉しながら吸蜜しています。 
日陰の花に来ると、翅をほぼ全開にして緩やかに開閉しながら吸蜜します。 
『フィールドガイド日本のチョウ』p196によると、 翅表・前翅中室内の斑紋が前縁に対して斜めとなるのでメスグロ♂と判明。 
私は今まで翅裏の斑紋でしか見分けられなかったのですが、この識別点を初めて知り、今後も役立ちそうです。 
前翅の翅表に性標(性斑)の黒条が3本あるので、♂と分かります。 

メスグロヒョウモン♂がキリンソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:49〜) 

撮れた映像素材の順番を入れ替えて編集しています。 
現場では翅裏をなかなか見せてくれなくて、同定できるまでしつこく同一個体を追い回して長撮りしました。 
翅を閉じた状態で翅裏を正対して見せてくれないと、晴れた日は翅表の斑紋が翅裏にまで透けて見えてしまい、同定に難儀することになります。 

他にシロチョウ類もキリンソウに訪花していたのに、カメラを向けたら逃げられてしまいました。

関連記事(7年前の撮影)▶ キリンソウの花蜜を吸うモンシロチョウ
 

2024/03/08

ムシトリナデシコの花蜜を吸うホシミスジ♀

 

2023年6月下旬・午前9:40頃・晴れ 

道端の花壇に咲いたムシトリナデシコの群落でホシミスジ♀(Neptis pryeri)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を半開きで開閉しながら吸蜜しています。 
後翅裏の前縁から最初の翅脈までの間隔が細いことから♀と判断しました。 

ムシトリナデシコの花から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 (@0:24〜)
ホシミスジを撮れたのはこれが9年ぶり2回目で、私にとっては珍しい蝶です。 

関連記事(9年前の撮影)▶ ヤエウツギの花蜜を吸うホシミスジ


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