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2024/03/29

一時帰還した巣穴の近くで昼間に活動するニホンアナグマの母子【トレイルカメラ】探餌徘徊、幼獣の格闘遊び、相互毛繕いなど

 



2023年7月上旬 

旧営巣地に戻ってきたニホンアナグマMeles anakuma)家族の映像記録の続きです。 
夜行性だと思っていたアナグマが明るい昼間にこれほど活発に活動するとは意外でした。
幼獣が元気一杯なのは、どの種類の動物でも同じようです。

シーン1:7/9・午前6:25・晴れ(@0:00〜) 
晴れた朝ですが、前夜の雨で濡れたレンズがまだ少し曇っています。 
旧機種トレイルカメラの映像がなぜか急にフルカラーに戻りました。 

多数のアナグマ個体が奥の二次林で採餌していました。 
巣穴Rのアクセストレンチに1頭が残っているだけです。 
5倍速の早回し映像でご覧ください。 


シーン2:7/9・午前6:26・晴れ(@0:12〜) 
アナグマ家族群の全個体が林内をゆっくり歩きながら採餌活動しています。 


シーン3:7/9・午前6:29・晴れ(@0:24〜) 
ようやくレンズの曇りが乾き、画面がすっきり見やすくなりました。 
アナグマの♀成獣は褐色で、幼獣の体毛は白っぽく見えます。 

4頭の幼獣が先を争うように巣穴Rに入りかけました。 
何か危険が迫っている訳ではなく、はしゃぎ回っているだけのようです(遊び)。 
先頭を切って実際に入巣Rしたのは母親♀でした。 

幼獣は疲れて巣内で寝るのかと思いきや、未だ遊び足りないようです。 
広場に残った幼獣2頭が取っ組み合いの格闘遊びを始めました。 
巣内Rに入っていた幼獣個体も再び外に出て参戦。 


シーン4:7/9・午前6:32・晴れ・気温22℃(@1:24〜) 
別アングルに設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
東から差し込む朝日が逆光になっています。 

巣口Lの周囲で3頭の幼獣が遊んでいます。 
しばらくすると、母親♀が左からノソノソと歩いて登場しました。 
獣道を辿って右上奥の灌木林へ向かいます。 
幼獣4頭も♀について歩きます。 

道中で1匹の幼獣が立木(樹種不明)に前脚を掛けながら立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。(@2:07〜) 
何の目的がある行動なのか分かりませんが、アナグマは幼獣の時期から後脚で起立できることが分かりました。 

幼獣たちは遠くへは行かず、セットに駆け戻ってきました。 


シーン5:7/9・午前6:33・晴れ・気温24℃(@2:24〜) 
新機種のトレイルカメラなのに、昼間の連続撮影でなぜかモノクロ映像に戻ってしまいました。 (初めての症状で原因不明です。) 

幼獣が巣穴Lに出入りを繰り返しています。 
広場で2匹の幼獣が互いに突進して、ぶつかり稽古のように遊び始めました。 
突進すると見せかけてフェイントをかけたり、挑発するように横にピョンピョン跳ねたりと、微笑ましい遊びです。 
喧嘩の鳴き声は発していませんでした。 

母親♀が独りで採食に出かけた間、4頭の幼獣はセットで留守番しているようです。


シーン6:7/9・午前6:34・晴れ・気温26℃(@3:08〜) 
モノクロからフルカラーの映像へと自然に戻りました。 
これ以降、モノクロとフルカラーを交互に繰り返す謎の症状が発生します。 
直射日光がレンズに当たると眩しすぎて発症するのかな? 
気温の測定値が短時間で不自然に上昇したのも、カメラ本体に直射日光が当たったせいでしょう。(異常値とみなします) 

母親♀に呼ばれたのか、広場で遊んでいた幼獣2頭が獣道を辿って右上奥へ走り出しました。 
しばらくすると、画面の左下から幼獣1頭が登場しました。 
最後までセットに残っていた個体のようです。 
巣口Lをピョンと飛び越えると、仲間の後を追って獣道を駆け去りました。 


シーン7:7/9・午前6:36・晴れ・(@3:38〜) 
幼獣4兄弟(姉妹)が獣道からセットに戻ってきていました。 
その後から母親♀が獣道を歩いて来ると、幼獣が嬉しそうに出迎えて♀にまとわりつきます。 
既に離乳しているのか、母親♀を横から見ても腹面の乳首があまり目立たなくなっている気がします。 
親子全員が左に消えました。 


シーン8:7/9・午前6:40・晴れ・(@4:11〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭はバラバラになり、各自が林床の地面を掘り返して採餌の真似事をしているようです。 
母親♀は巣口Rから離れ、独りで左奥の林内へ入って行きました。 


シーン9:7/9・午前6:44・晴れ・(@5:11〜) 
幼獣は3頭しか写っていません。 
そのうちの1頭が後ろ向きで巣穴Rの奥に引っ込みました。 
しばらくするとまた巣口Rに顔を出しました。 

別の幼獣2頭が広場で頭を突き合わせながら探餌徘徊しています。 
軽く突進して相手を牽制し、小競り合いが始まりました。 
軽い取っ組み合いで巣口Rの窪地に転がり落ちても、平気で起き上がります。 


シーン10:7/9・午前6:50・晴れ・(@6:11〜) 
ようやく幼獣4頭の全個体を確認できました。 
(母親♀は採餌に出かけていて留守です。) 
各自があちこちで採餌活動しています。 
幼獣の個体識別はできていませんが、幼獣にも個性がありそうです。 
例えば、いつも♀のそばに居たがる幼獣個体は将来のヘルパー候補♂なのかな? 

林縁で取っ組み合いの格闘遊びが勃発しました。 
巣穴Rへの出入りを繰り返して遊んでいます。 


シーン11:7/9・午前6:59・晴れ・(@7:11〜) 
いつの間にか母親♀がセットに戻って来ていました。 
巣口Rで1匹の幼獣と♀が相互毛繕いで挨拶しています。 

成獣が横を向いた際に、腹面に乳首が見えました。(@7:44〜) 
これでようやく成獣が母親♀であることが確定しました。 
それまでは、ヘルパー♂かもしれないという疑念を除外できませんでした。 

幼獣は♀に授乳を求めることはなくなり、完全に離乳したようです。 

 【アフィリエイト】



シーン12:7/9・午前7:44・晴れ・(@8:11〜) 
巣口R付近に母子全員が勢揃いしていました。
林縁の広場で寄り添い、相互毛繕いを始めました。 

ヘルパー♂の姿を全く見かけないのですけど、一体どこに居るのでしょう? 
幼獣が乳離れすると、ヘルパー♂はお役御免で追放されるのでしょうか?
この旧営巣地から転出した先の巣穴がどこにあるのか、私はまだ突き止められていません。 
アナグマ母子も懐かしの巣穴に一時帰還しただけで、本格的に再転入するつもりはないようです。 

やがて母親♀は仰向けになり、自分で毛繕いを始めました。 

幼獣2頭が相次いで巣穴Rに駆け込みました。 
巣外に残ったメンバーはのんびり過ごしてしています。 


シーン13:7/9・午前7:45・晴れ・(@9:11〜) 
親子で相互毛繕いしたり、体を掻いたりしています。 
幼獣の中には、巣穴Rへの出入りを繰り返したり、地面を前足で掻いて採餌の真似事をする個体もいます。 


シーン14:7/9・午前7:47・晴れ・(@10:11〜) 
幼獣1頭だけが母親♀の後をついて右へ立ち去りました。 
他の幼獣3頭はセットに残り、各自が探餌に励んでいます。 


シーン15:7/9・午前7:50・晴れ・(@11:11〜) 
採食に出かけていた母子がセットに帰ってきていました。 
幼獣が母親♀に向かって突進して甘えています。 
母子の順に巣穴Rに入りました。 
他の幼獣3頭の姿が見えません。 


シーン16:7/9・午前7:58・晴れ・気温24℃(@11:22〜) 
別アングルに設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
新機種なのに、なぜか白黒映像です。 

母親♀が左の巣口R付近で仰向けになり自分で毛繕いしています。(乳首が見える) 
そこへ幼獣が近寄ると、対他毛繕いしてやります。 


シーン17:7/9・午前7:59・晴れ・気温26℃(@11:41〜) 
母親♀が獣道を辿って右上奥へ向かいました。 
旧営巣地からあまり遠くへは行かず、林内で独り採餌活動をしています。 
幼獣3頭はセットに留まり、おとなしく留守番しています。 
親の躾が行き届いているのか幼獣の本能なのか分かりませんが、勝手に動き回って林内で迷子にならない点に感心します。 


シーン18:7/9・午前8:01・晴れ・気温27℃(@12:41〜) 
再び母子の群れが勢揃いしました。 
幼獣のある個体が立木に前脚を掛けて立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。(@13:10〜) 
続けて幼獣同士の格闘遊びが始まり、キャン♪と軽く吠えました。 
まるで避難訓練のように、幼獣たちは巣穴Lへの出入りを繰り返して遊んでいます。 
巣口Lをピョンと跳び越える様もかわいいですね。 
最後は4頭の兄弟姉妹が連れ立って左の死角へ行きました。 
「そして誰もいなくなった」 


シーン19:7/9・午前8:02・くもり・(@13:41〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
母親♀の周囲で4頭の幼獣が元気いっぱいではしゃぎ回っています。 
たまに♀が近くの幼獣に対他毛繕いしてやります。 
幼獣の中に黒っぽい個体がいますが、巣穴に出入りした際に黒土で汚れてしまったのでしょうか。 


シーン20:7/9・午前8:03・くもり・(@14:41〜) 
右から左へ母親♀が横切ります。(乳首が見える) 
営巣地に散乱する長い落枝をアナグマが踏むと落枝が動くので、逆に落枝に注目することで死角にいるアナグマの動きを想像することが出来ます。 


シーン21:7/9・午前8:04・くもり・(@15:21〜) 
♀が奥の二次林へ入り、採食しています。 
幼獣からはぐれないように、セットからあまり遠くには行かないようにしているようです。 
幼獣4頭も各自が地面を嗅ぎ回り前足で掻いて餌を探します。 

細長い立木に前脚を掛けて立ち上がる幼獣がいました。(@16:00〜) 
今回この行動を何度も見かけるのですが、特定の幼獣個体の癖なのか、何の目的があるのか、知りたいところです。 

そこへ別の幼獣個体がやって来て、幼獣同士の取っ組み合い(兄弟喧嘩)が始まりました。 
相手に噛み付いて組み伏せているものの、鳴き声は聞き取れません。 


シーン22:7/9・午前8:05・くもり・(@16:21〜) 
元気があり余っている幼獣2頭が巣穴R付近でひたすら格闘遊びを繰り広げています。 
その一方で、いつも母親♀について歩きたい甘えん坊の幼獣が1頭います。 
親の採餌法をよく見て覚えようとする勉強熱心な個体なのかもしれません。 
幼獣の性別が関係しているのかな? 


シーン23:7/9・午前8:08・くもり・(@17:20〜) 
各々がばらばらに活動しています。 
林縁の灌木の根本で虫でも見つけたのか、重点的に匂いを嗅いでいる幼獣がいます。 


シーン24:7/9・午前8:08・くもり・気温25℃(@18:21〜) 
別アングルの監視映像に切り替えました。 
幼獣1匹が巣口Lの近くで地面の窪みに顔を突っ込んで餌を探しています。 


シーン25:7/9・午前8:09・くもり(@19:20〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 散発的に幼獣同士で小競り合いが始まります。 
奥の農地からトラクターの騒音が聞こますけど、アナグマ家族は気にしていません。 

前脚を立木に掛けて起立する幼獣がいました。(@x:xx〜) 


シーン26:7/9・午前8:12・くもり・気温25℃(@20:20〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣1匹が右下隅から登場し、アクセストレンチLの落葉に鼻面を突っ込んで穴を掘りながら餌を探しています。 


つづく→


2024/02/01

強風の日にウィンドサーフィンや掴み合いの空中戦を楽しむハシボソガラスの群れ(野鳥)

 

2023年6月上旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の農村部にそびえ立つ2本のスギ(杉)高木の梢からハシボソガラスCorvus corone)の群れが繰り返し飛び立っていました。 
晴れているものの強風が吹き荒れる日で、樹上のカラスは軽く飛び上がると翼の角度を少し変えるだけで急上昇したり急降下することが可能です。 
隣の木にふわりと飛び移りました。 
4羽のカラスが強い逆風を利用してウィンドサーフィン(風乗り遊び)を楽しんでいるようです。 

樹冠に止まった個体がお辞儀をしながら鳴いていますが、風切り音がうるさくて聞き取れません。 
鳴き声が聞こえなくても、鳴き方の姿勢だけでハシボソガラスと分かります。 

杉の木から相次いで飛び上がった2羽が空中で互いに追いかけっこを始めました。 
強風で流されてしまうスリルが楽しいのでしょう。 
元の止まり木に戻るのも大変で、強風に逆らって必死で羽ばたいています。 

強風下の空中戦を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:20〜) 
空中で互いに足で蹴り合ったら絡み合ってしまい、きりもみ状態で落ちていきます。 
地上に墜落する寸前で離れました。 
まるで本で読んだことのある猛禽類の求愛行動みたいです。 

空中戦も含めて遊びの行動だと私は解釈しましたが、止まり木を巡る本気の縄張り争いだった可能性もありますかね? 
スギ樹上に塒入りするにはまだ早い時間帯でした。 


関連記事(2、7、10年前の撮影)▶  

2024/01/31

ヨモギの茂みに隠れて騒がしく兄弟喧嘩をしていたホンドタヌキの幼獣が巣穴に隠れた

 



2023年6月上旬・午後12:45頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地をトレイルカメラで監視しています。 
カメラの電池を交換するために森を抜けて休耕地へ向かっていると、林縁の原っぱでヨモギの茂みが一部だけ不規則に揺れていることに気づきました。 
風による振動にしては不自然です。 
クズの蔓もヨモギの群落に覆いかぶさるように伸びています。 
初めは鳥の鳴き声しか聞こえませんでしたが、耳を澄ますと、時々なんとも形容し難い奇妙な鳴き声や唸り声もかすかに聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

おそらく巣外に出てきたタヌキの幼獣が草むらに隠れて格闘遊び(兄弟喧嘩?)をしてはしゃいでいるのではないか?と想像しました。 

離れたところからしばらく長撮りしても、タヌキの幼獣はヨモギ群落の外に姿を現してくれませんでした。 
親の言いつけをしっかり守っているのか幼獣の生まれついた本能なのか知りませんが、明るい昼間は天敵(捕食者)に襲われる心配があるので、草むらに隠れて過ごすようです。 
例えば、ノスリなどの猛禽類が休耕地で獲物を狙っているかもしれません。 

関連記事(11日前の撮影)▶ 夕暮れの樹上で鳴く♪ノスリ(野鳥) 


別の用事を済ませてから20分後。 
ヨモギの茂みを揺らしていた生き物の正体を突き止めるために、動画を撮りながらゆっくり近づいてみました。 
(獣ではなく野鳥の可能性も考えられます。) 
ヒメジョオンの白い花が咲き乱れる休耕地の草むらには、獣道が何本も縦横に形成されていました。 
私が近づくと外で遊んでいたタヌキ幼獣は慌てて巣穴に逃げ込むだろうと予想したものの、雑草の草丈が高くて逃走シーンは見えませんでした。 

ヨモギの群落を回り込んでからタヌキの巣口aにズームインすると、穴の奥から2頭の幼獣が顔だけ出して、つぶらな瞳で私を不思議そうに見上げていました。 
巣口の手前に生えたクズの蔓が邪魔で、どうしても前ピンになってしまいます。 
私が横に少し動くと、ホンドタヌキの幼獣は警戒して巣穴の奥に逃げ込んでしまいました。
人懐っこく外に出て来られる方が困ってしまうので、ヒト(怪しい侵入者)を恐れてくれて一安心。
あれほど元気に騒いでいたのに、私と対峙している間、幼獣は鳴き声を全く発しませんでした。 
巣口でミドリキンバエ?が飛び回っています。 
親ダヌキの姿を全く見かけませんでしたが、採餌に出かけているのか、日中は巣穴の奥でぐっすり寝ているのでしょう。
近くにあるもう一つの巣穴bには近寄らず、写真を撮っただけで私はタヌキの営巣地から撤退しました。 


つづく→
この後も無人カメラでの監視をしばらく続けたのですが、何も撮れなくなってしまいました。
私の干渉を嫌がってタヌキの家族が巣穴を放棄して出て行った訳ではありません。
初夏は植物の成長が旺盛で、原っぱにあるタヌキの巣穴が雑草ですっかり覆い隠されてしまったからです。
タヌキ成獣の体高よりも雑草の草丈の方が高くなります。
風が吹く度に草木が揺れてカメラのセンサーが誤作動することが多く、無駄撮りばかりになります。
かと言って、営巣地の草刈りをする訳にはいきません。
あれこれ試行錯誤したのですけど、タヌキ営巣地の撮影は泣く泣く諦めました。
ドローンを飛ばして上空から空撮するか、高木に登って樹冠にトレイルカメラを設置するしかなさそうですが、高所からでは暗視カメラの赤外線が届かなくなりそうです。
長い空白期間の後、落葉した冬になってから再開します。
巣口b

2024/01/30

深夜の原っぱで遊ぶホンドタヌキの幼獣を親が1頭ずつ巣穴に連れ戻す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

休耕地に営巣したホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:6/1・午後23:14・気温18℃・小雨(@0:00〜) 
小雨がぱらつく深夜に、親タヌキが1頭の幼獣aを口に咥えて原っぱを右に運び、奥の巣穴に運び入れました。 
手前に生い茂るヨモギの群落が邪魔ですけど、手前にある別の巣口で複数頭の幼獣が待っていて(冒頭の赤丸に注目)、ミャーミャー♪と猫のような鳴き声を発しました。 
親タヌキがすぐにまた巣穴から外に出てきて、原っぱで夜遊びしている幼獣たちの元へ向かいました。 
せっかく巣穴に連れ戻した幼獣aが、その間に巣口に出てきてしまっています。 
親が次の1頭bの首筋を咥えて奥の巣穴へ搬入します。 
原っぱに残された幼獣2頭c,dが相次いで駆け出し、自力で親ダヌキを追いかけて行きました。 
この映像を見る限り、少なくとも計4頭の幼獣が育っていることになります。 


シーン2:6/1・午後23:29・気温18℃・小雨(@1:04〜) 
約13分後、奥の巣口付近の原っぱで、1頭の幼獣が元気に飛び跳ねています。 
独りで深夜の原っぱを探索しているようです。 
別個体の幼獣が巣口に居残っている姿も草葉の陰からちらっと見えています。 


シーン3:6/1・午後23:30・小雨(@2:03〜) 
気温24℃と表示されているのは異常値(暗視動画の連続撮影によるカメラの放熱)です。
原っぱで独り遊んでいた幼獣を親タヌキが連れ戻しに来ました。 
首筋を咥えられた幼獣はおとなしく巣穴へと運ばれて行きます。 

ようやく幼獣全員を巣内で寝かしつけてから、親が独りで右へ立ち去りました。 
餌を探しに出かけたのでしょう。(探餌徘徊) 


※ タヌキ幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画の編集時に音声の一部を正規化して音量を強制的に上げています。 


2023/12/13

寝そべって砂浴びするニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地を新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 
謎の砂浴び行動についてまとめました。 


シーン1:5/5・午後21:19・気温18℃(@0:00〜) 
広場をうろついていたアナグマがゆっくりと入巣Rしかけたものの、気が変わって広場に寝そべりました。 
前脚で地面を掻いて土を自分の体に掛けるという謎の行動を始めました。 
素人目には♂の外性器が見えましたし、左右の瞳が同じ大きさなので、♀ではなくヘルパー♂だと思います。 
仰向け状態で毛繕いし、股間を舐めました。 
また寝転がって砂浴びを再開。 
最後に録画が切れる寸前に、右前の巣穴Rから♀が顔を出しました。 


シーン2:5/5・午後21:18(@1:39〜) 
ほぼ同時に別アングルで撮れた映像を見てみましょう。 
林縁の広場に腹這いになって、謎の砂浴び行動を始めました。 

今回ヘルパー♂が前脚の爪で地面を掘っているのは、採餌のためでも巣穴拡張のためでもないことが、はっきり見て取れます。 
寝返りを打って右手と左手を交互に使って掘った土を自身の体に掛けています。 
仰向け毛繕いと砂浴びを交互に繰り返しています。 
開脚した股間に睾丸が見えたので、性別は♂(若い息子のヘルパー♂)で間違いなさそうです。 

やがて、右手前の巣穴Rから♀(右目<左目)が外に出てきました。 (@3:01〜) 
広場で息子のヘルパー♂合流するとすぐに相互毛繕いを始めました。 


シーン3:5/5・午後21:27(@3:09〜) 
別アングルのカメラに切り替わりました。 
広場で親子2頭が少しじゃれ合い、相互毛繕いを始めました。 
ヘルパーに関する予備知識がない状態でこの様子を見ると、アナグマは一夫一妻制なのかと誤解してしまうはずです。 
余所者の♂が求愛に来たとき、♀は自身の短い発情期以外では♂を激しく撃退するのに、若い息子のヘルパー♂に対しては寛容です。 
母親と若い息子の仲が良いのは結構ですが、近親交配をどうやって防いでいるのか、気になります。 
発情する前の若い♂をヘルパーとして同居させているのでしょう。 

面白いのはここからです。(@3:20〜) 
手前のヘルパー♂が横臥し、奥には♀が並んでいます。 
♀が自分の体を掻いたり毛繕いしている間に、隣のヘルパー♂がまた砂浴びを始めました。 
とばっちりで砂を掛けられた母親♀が怒って唸り声を上げ、少し右に離れました。 
♀の右目が失明しかけているのは、もしかすると土や砂が目に入ったせいかもしれない、と思いつきました。 (感染症の眼病?)
しばらくすると♀がヘルパー♂に歩み寄って、仲直りの相互毛繕い。 


シーン4:5/5・午後21:26(@4:09〜) 
別アングルのトレイルカメラでも同じシーンが撮れていました。 
相互毛繕いに飽きたヘルパー♂が林縁に寝そべって、地面を左前脚で掻き始めました。 
土を自分の腹にかけているようです。 
ただの暇つぶしなのか、それとも猫がやるように爪が伸び過ぎないよう研いでいるのかな?

若い息子に土を掛けられた背後の♀が怒って抗議し、少し移動しました。 
ヘルパー♂は構わずに砂浴びを続けます。 
やがて親子は相互毛繕いを始めました。 


シーン5:5/5・午後21:28(@5:02〜) 
同じことの繰り返しなので、5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン6:5/5・午後21:33(@5:31〜) 
親子水入らずのひとときを夜の広場で過ごした後、♀が先に右手前の巣穴Rに入りました。 
巣内で赤ちゃんに授乳したり面倒を見たりする必要があるのです。

広場に残ったヘルパー♂は、独りで仰向け毛繕いを続けています。 
巣口Rを覗き込んでも中には入らず、広場に戻って寝そべると、砂浴びを再開。 

必ず横に寝そべって(横臥)片手で地面の土を掻きます。 
採餌や造巣の際に見られる本気の穴掘り行動とは異なり、本格的に両手で地面を掻くことはありません。 


シーン7:5/5・午後21:34(@6:30〜) 
ヘルパー♂が独りで退屈しのぎ(?)の砂浴びを続けています。 
浅く掘った地面に腹這いになりました。 
掘ったばかりの土がひんやりして気持ち良いのかもしれません。 


シーン8:5/5・午後21:37(@7:32〜) 
ヘルパー♂が横臥のまま動きを止めたので、うたた寝しているのかもしれません。 
寝返りを打って腹這いになりました。 
砂浴びを再開しても、すぐに手を止めて横臥で目を閉じました。 


砂浴び行動と言えば、私はスズメで見たことがあるだけです。 
関連記事(4、10年前の撮影)▶  (例123) 

ニホンアナグマの砂浴びも、毛皮に付いた体外寄生虫(ノミやダニなど)を駆除するための行動なのでしょうか? 
私は未見ですが、イノシシは体外寄生虫対策として泥濘の中で転げ回り、泥浴びをすることが知られています。(ヌタ打ち行動) 
それに対して、アナグマのヘルパー♂が浴びていた土砂はさらさらに乾いていて、決して泥ではありません。 
そもそも私はアナグマの水浴行動を未だ一度も見たことがないのですが、水浴びしないのかな? 
アナグマ営巣地(セット)の近くには、小川や池、水田があります。
いかにも野生動物が水を飲んだり浴びたりしそうなのですけど、足跡などを頼りにもっとポイントを絞り込まないと監視カメラを設置できません。

ネット検索しても、砂浴びをするアナグマの事例はヒットしませんでした。 
まさか新発見?!
私が(良かれと思って)巣材の藁をアナグマに与えたせいで、藁に付着していた吸血性の寄生虫(ノミやダニなど)が巣内に蔓延したのかも?と自責の念に駆られます。 


しかし同じ穴のむじなのうち、砂浴びするのはなぜかヘルパー♂だけで、♀は一度もやりませんでした。 
私が与えた巣材を搬入したのは♀なので、藁に吸血性の寄生虫が付着していたとしたら、真っ先に体外寄生するのは♀のはずです。

ひんやりした土に腹這いで寝そべると気持ち良いのかもしれません。 
思わせぶりな砂浴び行動は、単なる「暇つぶしの遊び」という可能性もあり得ます。
しかし行動の進化を考えると、その区別はあまり意味がないかもしれません。
鳥や動物は体外寄生虫への対策を理知的に考えて砂浴びや泥浴びの行動をするわけではありません。
たまたま砂浴びや泥浴びを始めた個体が居て、結果的に体外寄生虫が駆除された場合には適応度が少しだけ高まり、世代を経るにつれてその行動が集団内に広がっていったのでしょう。
この後、長期間の定点観察を続けても、アナグマの砂浴び行動がほとんど記録されていないのは不思議です。(再現性に乏しい)




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

つづく→

2023/12/08

蔓にぶら下がったり棒切れを噛んだりして独り遊びするニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬

シーン1:5/1・午後20:09・気温11℃・(@0:00〜) 
(連続録画でカメラ自体が発熱しているため、画面に表示されている気温は異常値です。) 
ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)の広場で独り仰向けになって毛繕いしたり体を掻いたりしています。 
仰向けになるとまるで水面に仰向けで浮くラッコのようです。(ちなみに、ラッコもアナグマも同じイタチ科です。) 
左右の目の大きさが同じぐらいなので、♀ではなくヘルパー♂でしょう。
 あられもない姿で大開脚しているのですが、股間の外性器が私には未だしっかり見分けられません。 

仰向け毛繕いの途中で、たまたま目の前にぶら下がっていた蔓(樹種不明)を両手で手繰り寄せました。 
一旦、蔓を手放してしまったものの、ぶらぶら振動する蔓を再び掴み直しました。 
どうやら暗闇でもしっかり物が見えているようです。 
この日の月齢は10.9とのことで、月明かりがあるのでしょう。 


シーン2:5/1・午後20:08・(@0:41〜) 
別アングルの映像を見てみましょう。 
広場に仰向けで座って延々と毛繕いしたり体を掻いたりしていたアナグマが、たまたま目の前にぶら下がっていた蔓を両手で掴みました。 
長い蔓を手繰り寄せると、頭上の林冠がバサバサと激しく揺れました。 
手放した蔓を何度も掴み直して遊んでいます。 
その後は毛繕いに戻りました。 


シーン3:5/1・午後20:16・気温11℃・(@1:40〜) 
右の巣穴Rに入りかけたヘルパー♂が、目の前にあった蔓を再び両手で掴み、引っ張って遊び始めました。 
暇を持て余したヘルパー♂の遊び。 

仰向け状態から急に起き上がると、左に向かって駆け出しました。 
夜這いに来た余所者の♂を追い払いに行ったのかな?(想像) 

セットからアナグマが居なくなった後も、林冠まで伸びた蔓がしばらく揺れています。 


シーン4:5/5・午後21:44・気温20℃・月齢14.9(@2:37〜) 
4日後の晩にも似たような独り遊びの行動が録画されていました。 
営巣地の広場で仰向けになってゴロゴロしているアナグマをよく見ると、口に何か短い棒切れを咥えていました。 
まるで暇を持て余した飼い犬を見ているようです。 

素人目には股間に睾丸が見えるので、♀ではなくヘルパー♂だと思います。 
左右の目の大きさも同じです。 

途中から、いつもの仰向け毛繕いに移行しました。 
次は、目の前に転がっていた長い落枝や木質の蔓を咥えて引っ張り始めました。 
ほぼ満月(月齢14.9)なので、暗闇ではなく月明かりがあるのでしょう。


シーン5:5/5・午後21:43・(@4:38〜) 
別アングルの監視カメラにも映像が撮れていました。 
広場で仰向けに寝そべっているヘルパー♂が、口に短い棒切れを咥えていました。 
ゴロゴロと寝返りを打ちながら、棒切れを甘噛みして遊んでいます。 
起き上がって仰向け毛繕いを少しやってから再び寝そべり、今度は目の前の長い落枝や木質の蔓を両手で掴みました。 
長い蔓を手繰り寄せたところで、録画が一旦終了。 


シーン6:5/5・午後21:45・(@6:08〜) 
すぐにまたカメラがアナグマの動きに反応して起動し、続きを撮り始めました。 
ヘルパー♂が広場で寝転がり、蔓を口で軽く咥えたり、手で引っ張ったりして、延々と戯れています。 
蔓を手離すと、再び短い棒切れを咥え直しました。 
独り遊びに飽きて巣口Rに戻りかけたものの、思い留まりました。 
再び広場に戻って座り込んだどころで録画終了。 


巣穴の近くにぶら下がる蔓が邪魔で取り除こうとする行動ではなく、明らかに遊びでした。
アナグマにも暇潰し(余暇)の時間があるとは意外でした。
ヘルパー♂にこれほど長時間遊ぶ余裕があるということは、食生活にゆとりがある証拠です。 
一方♀は、巣内に篭もって赤ちゃんに授乳したり面倒見たりと、忙しくしているはずです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。




2023/06/19

晩秋にトビを擬攻撃してから♂と擬交尾するハシボソガラス♀(野鳥)

 

2022年11月中旬・午後15:55頃・くもり 

田園地帯の電線にトビMilvus migrans)とハシボソガラス♀(Corvus corone)が並んで止まっていました。 
カラスが強風に乗ってふわりと飛び上がり、トビの横に止まり直しました。 
トビに対して明らかに嫌がらせ・牽制しています。 
繁殖期ではないのに、カラスは猛禽に軽くモビング(擬攻撃)して縄張りから追い出そうとしているようです。 
しかし、このトビは強気で、カラスにモビングされても動じません。 

トビへのモビングを諦めたハシボソガラス♀は、左下の電線に滑空して飛び移りました。 
電柱に何か黒い箱状の器具が取り付けてあり、そこからケーブル(針金、電線)2本が上下の電線に伸びて繋がっています。 
そのケーブルの末端(黒いビニールテープ?)にカラスは興味を示し、嘴で被覆をほどこうとし始めました。 
逃げないトビへの苛立ち(欲求不満)を鎮めるための転移行動かもしれません。
電線の被覆を剥がそうとしているのなら重大な問題です。 
感電事故になるのではないかと心配しながら見守っていると、カラスは諦めて電柱の足場ボルトにヒョイと飛び乗りました。 
どうやら、このハシボソガラス♀個体はとにかく飽きっぽいようです。 
(私がしつこくカメラを向けているせいで集中できないのかな?) 

足場ボルトから白い液状便をポトリと排泄してから(@1:17〜)、カラスは左下に飛び降りました。 
波状に滑空すると、刈田に着陸しました。 
刈田で採食していたパートナーのハシボソガラス♂と合流すると、♀は♂の横で身を伏せました。 
♂は頭を上下にしゃくりあげるように動かしながら鳴いて、飛来した♀に挨拶しました。 
(やや遠い上に風切り音のせいで、カラスの鳴き声は聞き取れませんでした。) 
つづけてハシボソガラス♂が♀の背に乗りました! 
♂にマウントされた♀は身を伏せたまま嬉しそうに尾羽根を左右に振り、♂を見上げました。 
カラス同士がニホンザルのように上下関係を決めるためにマウントする(優劣行動)という話は聞いたことがありません。
晩秋に交尾するペアを初めて見た私はビックリ仰天しました。 
そもそもカラスの交尾期は初春です。

関連記事(1年前の撮影)▶ 巣材を運ぶ途中で交尾するハシブトガラス♀♂のつがい(野鳥)

映像を見直すと総排泄孔を互いに擦り付けなかったので、本当の交尾行動ではないようです。 
♀♂つがいの絆を深めるために儀式的な疑似交尾をしたのでしょう。 
相互羽繕いなどの前戯はありませんでした。 
私はカラスの性別を外見から見分けられませんが、擬交尾した時点で行動から性別が判明しました。 
今回は♀が疑似交尾を求めて、パートナー♂の真横に舞い降りたことになります。 

短い擬交尾の後で♂が♀の背中から下りると、ペアは少し離れました。 
♂が再びマウントしようと♀の背に左足を掛けたら、♀は嫌がって逃げました。 

その間も冒頭のトビは電線に止まったままで、周囲の刈田を見回していました。 
胸の羽毛が白くなく、尾羽根に三角の切れ込みがあることから、ノスリではなくトビと見分けられます。 (開いた翼の下面を見るまでもない) 

手前の里山は紅葉しているものの、標高の高い遠くの山並みはうっすらと冠雪していました(初雪)。 

2023/06/16

餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】

 

2022年11月中旬・午後15:51および15:58:頃・気温6℃ 

山腹に立つカラマツの根元にオニグルミ堅果を新たに40個まとめて置きました。 
3回目のクルミ給餌をしてからわずか約4時間半後、野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが通りかかりました。 
この地点で猿がトレイルカメラに写ったのは初めてです。 

落ち葉の積もった斜面を駆け下りて、泥汚れの付いたカラマツの横を通り過ぎました。 
カラマツ根元に置いたクルミには気づきませんでした。 

約5分後、♂らしきニホンザルが右から左に足早に歩いて監視カメラの目の前を横切りました。 
この個体も餌場のクルミには気づかず素通りしました。 
一瞬の登場シーンを、まずは1/3倍速のスローモーションでご覧ください。 
続けて等倍速でリプレイ。 

しばらくすると、また別の個体が雑木林の斜面を駆け下りて来ました。 
カラマツの右を通り過ぎ、ローアングルで設置したカメラの存在に気づくと減速し、まっしぐらに歩いて来ました。 
好奇心旺盛の個体で、顔を近づけてレンズを覗き込みました。 
頬袋に溜め込んだ餌を咀嚼しています。 
こんな迫力満点の映像が撮れたのは、無人カメラならではです。 
トレイルカメラが猿に壊されたり悪戯されたり、持ち去られたりするんじゃないか…という心配は杞憂でした。 

カメラに興味を失ったニホンザルが左に歩き去ろうとして、立ち止まりました。 
後ろ姿の尻や股間を見る限り、若い♀個体のようです。 
給餌場に置かれた大量のクルミに気づきました。 
残念ながら後ろ姿で見えませんが、右手を使ってガラガラ♪とクルミの山を崩したようです。 
餌場の下にオニグルミ堅果が散乱しました。 

悪戯好きの猿は画面の左端に座り込み、頬袋に溜め込んだ餌をもぐもぐと咀嚼しています。 
私は未だ実際に観察したことがないのですけど、ニホンザル成獣の一部はオニグルミの堅い殻も歯で力任せに噛み割って中身を食べることができるようになるそうです。 
しかし、この若い個体は顎の筋肉が非力なのか、クルミ堅果の食べ方を知らないのか、そもそも餌だと認識していないようです。(ただの石ころだと思った?)
関連記事(約2週間前の撮影)▶ 若いニホンザルはオニグルミの落果を拾って皮を剥いても硬い殻を割れない【種子散布】
もしかすると、当地のニホンザル個体群にはオニグルミの殻を割って食べる食文化が伝播していないのかもしれません。

この若いニホンザル♀は最後に右手で頭を掻いてから立ち上がり、左へ遊動しました。 
せっかくきれいに並べて置いたクルミの山を崩されたのはビックリしましたが、ニホンザルの好奇心による無報酬の種子散布を目の当たりにして興味深く思いました。 

※ 動画編集時に一部の音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

もしもニホンザル成獣が給餌場に置かれたクルミを見つけたら殻を割って採食するかどうか、興味深いところです。
しかし、残念ながら二度と現れませんでした。
ニホンザルは広い山域を群れで遊動しますが、山腹を斜行する山道(廃道)をショートカットする個体しかこの現場を通りかからないのです。

2023/06/08

スギ林に塒入りしたニホンザルの群れ

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり(日の入り時刻は午後16:45) 

日暮れ時に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが里山から麓に下りてきてスギ林へ次々と入って行きました。 
鬱蒼としたスギの植林地でどうやら一夜を過ごすようです。 

ところが天の邪鬼な個体が群れとは逆行して、杉林から山へ帰って行きました。 
まだお腹が満ち足りていないのか、暗くなるぎりぎりまで山で採食したいのかもしれません。 

スギ林の中からときどき猿の鳴き声やバキッと木が折れる音が聞こえます。 
物音のする方にズームインしてみると、斜めに倒れた朽ち木にサルが乗っていました。 
そこから身軽にジャンプして障害物を乗り越え、木を下りました。 

未だ遊び足りない3頭の子ザルが細い灌木に登って激しく追いかけっこしています。 
そのまま樹上に腰掛けて体をボリボリ掻きました。 
最後は飛び降りてスギ林の奥に走り去りました。 

塒入りしたニホンザルが夜の杉林でどのように寝ているのか、いつか観察してみたいものです。 
しかし、猿に気づかれないように忍び寄るのは難しそうです。 
一日中群れについて歩いて馴らせば可能?(人付け)
毎晩必ず同じスギ林に塒入りするのであれば、明るい日中に予めスギ林の中でブラインドを張って隠れ、猿を待ち伏せする作戦が有効かもしれません。
暗い夜でも遠くから野生動物の撮影ができる高性能(超高感度)のサーモグラフィカメラが欲しくなりますが、軍事用で超高価なので素人には高嶺の花です。 

夕方でかなり薄暗いために、カメラのAFがなかなか合焦しません。(私のカメラの性能限界) 
動画の画質がひどく粗いのも光量不足のせいです。 

※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
素材を撮影順ではなく少し入れ替えました。

2023/05/27

若いニホンザルはオニグルミの落果を拾って皮を剥いても硬い殻を割れない【種子散布】

 

2022年10月下旬・午後16:30頃・くもり 

山麓のスギ林の林縁で若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)がねぐら入りする直前まで採食しています。 
地面から黒くて丸い物体を次々に拾い上げました。 
どうやらオニグルミの果実が熟して落ち、辺りにいくつも転がっているようです。 
実際に、オニグルミの大木がスギ林に隣接する土手のあちこちに自生していました。 

ニホンザルはオニグルミの落果を拾うと、黒い果皮を手や口を使って器用に剥がしています。
ここまではヒトのクルミ拾いと似ています。 

関連記事(同年同時期の撮影:ヒトの採食行動)▶ オニグルミの落果を採集(クルミ拾い) 

オニグルミの果皮にはタンニンが多く含まれますから、渋くて不味いはずなのに、果皮を口にしても猿は平気な顔をしています。 
果皮を剥いて中から硬い堅果を取り出しても、非力な若猿には歯が立ちません。 
しばらく弄んでから食べられないと分かると、オニグルミの堅果をポイッと捨ててしまいます。 
その間も遊動していますから、オニグルミの落果を拾った地点から捨てた地点まで数メートル運びました。 
つまり、ニホンザルはオニグルミ種子の分散に貢献したことになります。 
オニグルミの母樹から遠ざかる方向に移動したのか、逆に近づいてしまったのか、は偶然に左右されます(ニホンザルの気分次第)。
もし猿がスギ林の中に持ち込んでからクルミ堅果を捨ててしまうと、日照量の少ないスギ林床でオニグルミの実生が育つのは絶望的です。

オニグルミの主な種子散布者は野ネズミやリスで、彼らが堅果を貯食する習性を利用しています。
野ネズミやリスに拾われて地中に隠されたクルミ堅果のほとんどは冬の間に食べられてしまいますが、ごく一部の食べ忘れられたクルミ堅果から芽が出て種子散布に成功します。 
つまり持ちつ持たれつの共生関係にあります。
一方、ニホンザルに対してオニグルミは何も報酬を与えていません。 
一時の好奇心が満たされたこと自体が報酬なのでしょう。

今回クルミを拾ったニホンザルは、好奇心旺盛な若い個体ばかりだったのがポイントかもしれません。 
年を取って経験を積むと、オニグルミの落果は拾う価値が無いと学習するはずです。 
それでも暇つぶしや遊びとしてクルミを拾い続けるかな? 
知能の高いニホンザルの好奇心を刺激する(拾いたくてたまらない)形状にクルミの果実が進化したら面白いですね。(猿の好奇心と遊び心を利用した種子散布) 

【追記】
私は知らなかったのですが、ニホンザルの成獣の一部はオニグルミの堅果を歯で噛んで割ることができるようになるそうです。
参考:野⽣ニホンザルのオニグルミ採⾷⾏動を観察
―採⾷技術とそのバリエーション―(無料PDFファイル

クルミ拾いに飽きると、腕白盛りの若いニホンザルたちは林縁で追いかけっこしたり、スギの枝葉に跳びついてブランコ遊びをしたり、スギの木に登ったり降りたり、遊びながらスギ林の奥へ遊動して行きます。 
猿の鳴き声が杉林からひっきりなしに響き渡ります。 
ニホンザルの群れは、このスギ植林地で一夜を過ごすようです。 

※ 映像があまりにも暗過ぎるパートは、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。


関連記事(約2週間後の撮影)▶ 餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】


↑【おまけの動画】 
“Monkeys Use Stones to Crack Open Nuts” by National Geographic 

当地のニホンザルがもしもクルミの硬い殻を石で叩き割って中身を食べることを覚えたら(道具使用、石器使用)、今度はオニグルミの種子散布者から種子捕食者になります。 
日本のカラスが投げ落としによるクルミ割りをマスターしたのですから、ニホンザルがクルミ堅果を割れるようになっても不思議ではありません。
ヒトが石を使ってクルミの殻を叩き割るお手本を見せたら、すぐに学習するんじゃないかな?

2023/03/07

落枝を登り降りして遊び、ゼンマイ(羊歯)の葉を試食するニホンザルの幼児

 



2022年9月中旬・午後14:45頃・気温17℃ 

トレイルカメラを設置している里山のスギ林道を野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが次々と通り過ぎます。 
音量を上げるとニホンザルが静かに鳴き交わす声が聞こえます。 
コンタクトコールやクーコール♪と呼ばれる鳴き声でしょう。 

対面に見えるスギ大木の左隣に太い落枝が急に出現し、奥の斜面に引っかかるように止まりました。 
秋の台風や冬の大雪で横枝が折れかけたままずっとブラブラしていたのですが、通りすがりの猿が跳びついて重みに耐え切れず、遂に折れたのかもしれません。 
枝が折れてバキバキッと落ちてくる瞬間はさすがに撮れていませんでした。 
それでも、落下時刻が2022年9月20日の午後14:43とほぼ正確に推定できてしまいます。 

遊動する成獣の後を追いかけるように赤ん坊の子ザルが懸命に走ってきました。 
例の太い落枝の手前で立ち止まると、両手を掛けて後足で立ち上がりました。 
子猿はキュルキュル♪と可愛らしい声で鳴きながら、落枝に素早くよじ登ると、すぐに天辺から林道へ大きくジャンプして跳び降りました。 
好奇心旺盛で元気一杯な子猿の独り遊びはいつ見ても微笑ましいものです。 
画角の右端ギリギリで座っていた母親の元へと子猿は駆け戻りました。 

次に、子猿は林床から自分の背よりも高く育ったゼンマイ の葉に興味を示すと、手で掴みました。(@0:37〜) 
母親の真似をして食べたのではなく、自発的に戯れで口にしたように見えました。
葉を味見しても美味しくなかったのか、子猿の歯では噛み千切れなかったのか分かりませんが、結局ゼンマイの葉を食べませんでした。 
その間、子猿のすぐ横で母親は林道に座り直すと、頬袋に詰めていた餌を取り出して食べました。 
子ザルが近寄って来ても、食べ物を分け与えたりしません。(給餌しない) 
逆に母猿は子猿を手で邪険に押しのけると、スギの落ち葉をかき分けて何か虫?を拾い食いしました。

成獣でもニホンザルがシダ植物を採食した例を私は観察したことがありません。
PDFで公開されている『ニホンザル採食植物リスト』を参照すると、驚いたことにゼンマイが含まれていました。 
ゼンマイのどの部位を食べたのか、細かい情報を知るためには原著論文に当たらないといけないようです。 
ヒトが山菜として食べるように、ニホンザルもゼンマイの芽や若葉が好きなのでしょうか?
三戸幸久. (2002). ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2, 89-113.
今回の動画でゼンマイを味見したのは、子猿の気まぐれや遊びではなかったようです。 




 

2023/02/23

砂防ダムの上で取っ組み合いして遊ぶ幼いニホンザル

 

2022年9月中旬・午前11:00頃・くもり 

里山から流れ出る渓流を跨ぐように作られたコンクリート製の砂防ダムに野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集まり、互いに毛繕いし合ったり思い思いにくつろいでいました。 
2頭の子ザルが取っ組み合いを始めました。 
本気の喧嘩ではなく、仲良しの遊び仲間がレスリングのような格闘遊びをしているようです。 
格闘中に鳴き声を発していませんでした。(少なくとも私には聞き取れませんでした。) 
もし堰堤の縁から落ちたら結構な高さなのですけど、ニホンザルは高さへの恐怖は無いようです。
私に隠し撮りされていることに気づくと、堰堤の少し奥に移動して死角に隠れました。 
私もそっと移動して撮影アングルをなんとか確保します。 
相手を組み伏せようとしたり、甘噛みしたり、逃げる相手を追いかけたり、疲れ知らずの子ザルは延々と寝技を続けています。 
子ザル同士の無邪気なプロレスごっこのように見えて、実は群れ内での力関係(序列)がこうして決まっていくのかもしれません。
ようやく一戦を終えると、堰堤を右に遊動して仲間と合流しました。 

この2頭にひたすら注目して格闘遊びの一部始終を長撮りすれば良かったのですけど、巨大な堰堤のあちこちで多数のニホンザルが様々な行動をしていたので、何を撮るべきか目移りしてしまいました。


2023/01/27

深夜の溜め糞場ではしゃぎ回り格闘遊びをする2頭のホンドタヌキ幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後23:27頃・気温20℃ 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動撮影カメラで監視していると、2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右から縦列でやって来ました。 
共に「フサ尾」で、なんとなく若い(幼獣?)兄弟姉妹のような気がします。 
後続の個体はやや興奮しているのか、尻尾を斜め上にピンと伸ばしていました。 

ニホンアナグマMeles anakuma)が残した溜め糞場で立ち止まると、頻りに周囲の匂いを嗅いでいた 先頭個体が身震いしました。
先頭個体が急に左へ走り出すと、釣られてもう一頭もはしゃいだように駆け去りました。 
このとき、タヌキの溜め糞場は迂回して通り過ぎました。 

すぐにまた1頭aが左から戻って来ました。 
タヌキの溜め糞場の手前で立ち止まり、しゃがみかけたら(排便姿勢?)、後ろからもう1頭bが全力疾走で駆け抜けました。 
bは林道上でUターンすると、排便中の個体aに跳びかかりました。 
幼獣bはとにかく元気があり余っているのか、はしゃいだようにaの周囲を跳ね回り、右へ走り去りました。 
aは林道に座り込んだまま、ポカンと見送っています。(暗闇でも相手が見えているのか?) 
もし排便中なら、腰を地面に落とさないはずです。 
bが再び右から駆け戻ると、座り込んだaの周囲を跳ね回ります。
 aの首筋に背後から噛みついたのは、群れ内で序列を決めるマウンティングのような優劣行動なのでしょうか? 
このとき、キュウ♪とか、カッ♪という短い鳴き声を発しました。 
短い映像からも2頭の性格の違いが伺えますが、私には性別が見分けられません。 
まさか交尾行動なのかと思って調べると、タヌキの発情期は冬らしい。
タヌキの繁殖期について説明すると、発情期になり共寝をするのは2月下旬~4月 (参考:タヌキ好きが集まるブログより引用)
やはり交尾や兄弟喧嘩というよりも、ふざけて遊んでいるだけでしょう。
組み伏せられたaが暴れてbを振りほどき、左へ走り去りました。 


※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
カメラ自体が一定のリズムで発するノイズがうるさくなるので、音声編集ソフトAudacityを使ってノイズを除去しました。




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